盆栽は海外に持っていける?アメリカ・イギリスの持ち込みルール
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結論から言うと、お店や盆栽園で買った盆栽を、旅行の荷物としてアメリカやイギリスに持っていくことは、実際にはできません。 どちらの国も土の付いた植物を手荷物に入れることを禁じており、樹齢が数年以上の盆栽は、輸出の何年も前から国に登録された栽培施設で検査を受けながら育てられたものしか入れられないためです。
海外の友人へのおみやげや、海外に住む家族への贈り物に盆栽を考えている人も多いと思います。この記事では、アメリカとイギリスの決まり、日本側の輸出検査、そして盆栽の代わりに持っていけるものを紹介します。
なぜ盆栽を手荷物で持っていけないのか
旅行中に買った盆栽には、次の3つの条件が重なって立ちはだかります。
- 土が付いていてはいけない:盆栽は鉢と土に植わった状態で育つものです。アメリカもイギリスも、土は病害虫を持ち込む原因になるとして扱っており、持ち込むには鉢から抜いて土を落とす必要があります。樹齢を重ねた盆栽には大きな負担です。
- 植物検疫証明書が必要:育てる目的の植物は、日本の植物防疫所の検査を受けて発行される証明書が必要です。
- 登録された施設で育てられた記録が必要:旅行者がどうしても満たせないのがこの条件です。樹齢を重ねた盆栽は、輸入する国の基準で植物防疫所の検査を受けた、登録済みの施設で一定期間育てられたものでなければ受け入れられません。
さらに、盆栽でよく使われる樹種の多くが、アメリカやイギリス、EUで制限または禁止されています。
アメリカの場合
アメリカでは、農務省の動植物検疫局(APHIS)が決まりを定め、空港では税関・国境警備局(CBP)が取り締まります。
旅行者が持ち込めるのは「土のない植物12本まで」
APHISは、旅行者が土や砂などの植え込み材を落とした植物を12本まで手荷物で持ち込むことを認めています。ただし、すべての植物が次の条件を満たす必要があります。
- 輸出した国の植物検疫証明書がある
- 輸入が禁止されている植物や、保護の対象の植物、輸入後の隔離が必要な植物などに当たらない
- アメリカで最初に入国する空港で、CBPの検査に合格する
13本以上は輸入許可が必要で、手荷物では持ち込めません。また、樹木の種子は旅行者の荷物に入れることが禁止されているため、「種なら大丈夫」というわけでもありません。
盆栽は「登録された温室で2年以上」が条件
APHISは盆栽を「人工的に小さく育てた植物」として扱っています。樹齢2年を超えるものは、次の条件を満たすときだけ輸入できます。
- 登録された温室・網室で2年以上育てられている
- 病害虫のいない用土で、地面から50cm以上の高さの棚の上で育てられている
- 出荷の前に、土を含むすべての植え込み材が取り除かれている
日本の植物防疫所の資料によると、日本側では、アメリカの輸入者が輸入許可を持っていること、栽培地が12か月に1回の検査を受けること、網室の網目や扉が決められた仕様を満たすことなどが必要です。また、カエデ、サクラなどのスモモ属、ツバキ属などが、アメリカへの盆栽の輸出では禁止される樹種として挙げられており、マツ属も制限の対象です。
園芸店や寺社の市、この仕組みに入っていない盆栽園で買った樹は、あとからこれらの条件を満たすことはできません。
植物を持っている場合は必ず申告を
植物を持っている場合は、入国時にCBPへ申告してください。申告せずに禁止品を持ち込もうとすると、没収・廃棄されるうえ、少量でも罰金の対象になることがあります。申告した結果、持ち込めないものだった場合は、没収されるだけで済みます。
イギリスの場合
イギリス政府の盆栽に関する案内は、業者による輸入の手続きを対象にしたもので、旅行者の手荷物で持ち込む方法は用意されていません。日本からの盆栽で輸入が認められているのは、次の4つの種類だけです。
- ヒノキ属(Chamaecyparis)
- ビャクシン属(ジュニパー、Juniperus)
- ゴヨウマツ(Pinus parviflora)
- クロマツ(Pinus thunbergii)
これらでも、日本の植物防疫所に登録された栽培地で育てられたもので、植物検疫証明書があり、イギリスの検査機関に事前に通知し、あらかじめ認められた隔離施設に直接送る必要があります。ビャクシン属は11月1日から3月31日までしか輸入できず、その後4月1日から6月30日まで隔離が必要です。
日本側の手続き:輸出検査
植物を日本から持ち出すときも、検査が必要です。植物防疫所に申請し、検査を受けると英文の植物検疫証明書が発行されます。成田、羽田、関西、中部、新千歳、福岡など、主な空港に輸出検査の窓口があります。
ただし、日本の検査は相手の国の決まりにもとづいて行われます。相手の国が求める栽培の記録がない樹には、証明書を出すことができません。植物防疫所は、買う前に相手の国の植物検疫機関や在日大使館で最新の条件を確認するよう案内しています。
盆栽の代わりに贈れるもの
- 盆栽の道具や鉢:盆栽用のはさみや針金、土の付いていない空の鉢は植物ではないため、上で紹介した植物の決まりは当てはまりません。鉢はきれいに洗って土を落とし、刃物は航空会社の手荷物のルールを確認してください。最初にそろえたい道具は「盆栽を始めるときに必要な道具」で紹介しています。
- 相手の国で正規に輸入された盆栽:日本の盆栽は、上で紹介した登録と隔離の仕組みを通して、アメリカやイギリスにも届いています。現地のお店で「どのように輸入されたか」を確かめて選ぶと安心です。
- 盆栽を見に行く体験:海外から日本を訪れる人には、名品の盆栽を見に行く案内も喜ばれます。東京近郊なら「大宮盆栽村と大宮盆栽美術館」が訪れやすい場所です。
よくある質問
機内持ち込みの手荷物なら、アメリカに盆栽を持っていける? 一般的な盆栽は持っていけません。土の付いた植物は禁止されており、樹齢2年を超える盆栽は登録された温室での栽培が条件のためです。
郵送や国際宅配便で送ればいい? 送る方法を変えても決まりは同じです。証明書、栽培の記録、土についての条件はそのまま当てはまり、禁止品を国際郵便で送った場合も同じように罰則の対象になります。
最新の決まりはどこで確認できる? 日本側は植物防疫所、アメリカは農務省の動植物検疫局(APHIS)、イギリスは政府の盆栽輸入の案内で確認できます。決まりは変わることがあるので、出発や発送の前に確認してください。
参考にした情報
- 米国農務省 動植物検疫局(USDA APHIS)「International Traveler: Plants, Plant Parts, Cut Flowers, and Seeds」
- 米国農務省 動植物検疫局(USDA APHIS)「Plants with Special Requirements and Prohibited Plants」
- 米国税関・国境警備局(CBP)「Bringing Agricultural Products Into the United States」
- イギリス政府(GOV.UK)「Import bonsai from Japan and Korea to Great Britain」
- 農林水産省 植物防疫所「Export inspection(英語)」
- 横浜植物防疫所「盆栽・苗木の輸出植物検疫について(PDF)」